兵士を見よ

杉山隆男さんの「兵士を見よ」を読み終わりました。

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この本って昔読んだような記憶があるのですが……立ち読みしてもハッキリ思い出せなかったので買ってしまいましたw
前作「兵士に聞け」では陸上自衛隊にが取材対象でしたが、この「兵士を見よ」では航空自衛隊に密着取材し、しかもF-15に体験搭乗までしちゃってます!
現在でこそ最強戦闘機はF-22ラプターですが、1999年取材当時の最強戦闘機はこのF-15でした。
そのF-15に普通のおじさん(ジャーナリストですが)が体験搭乗しちゃうんですから凄いですよ。
体験搭乗といっても通常訓練を兼ねてなので、体験搭乗にありがちな遠慮など無い本気の操縦です。
パイロット経験の無い一般人がF-15に搭乗するとどうなるか……
たとえば、下記は著者がF-15に搭乗して9G(1Gは自分の体重に相当)を体験するくだりですが
「いままでとは比較にならないくらいの強烈なGが全身にのしかかり締めつけてくる。
僕は両手両足を思い切り踏ん張り呻いていた。
眼はとても開けていられない。
それでも体内の血液がカクテルされているのか眼の前が真っ赤になり、
その赤がしだいに暗さを増して黒ぐろと変わっていくのがわかる。
体中の筋肉も骨も内臓もすべてがバラバラにされそうな重圧である。
耐え難いほどに締め付けられ、頭蓋骨もろとも風船のように破裂しそうだ。」
凄まじいですねえ……
著者はジャーナリスト出身なので文章に説得力があります。
私のような一般人がF-15に乗れる事は絶対に有り得ませんが、
著者のおかげで、F-15パイロットはとんでもない世界で戦っているんだと思い巡らす事が出来ます。
ちなみに別紙で読んだのですが、高機動で操縦してる時のパイロットは、「ダンベルを持ち上げつつピアニストのように指先を動かしてボタンを操作するようなもの」だそうです。
激烈なGに耐えながら膨大な数のスイッチを冷静沈着に操作しなければならないのです。
この他にも、
・F-15整備担当者の担当機への思い。
・F-15から救難活動に配転されたパイロット。
・大韓航空機墜落事故当時の状況。
・飛行教導隊(アグレッサー)に入隊したばかりのエリートパイロットの挫折
などが書かれています。
これらの話は密着取材した結果、取材相手が著者を信頼して話してくれています。
夫婦喧嘩をしてイライラしていると、操縦に支障が出て最悪の場合墜落死する可能性があるので、朝出かける時は必ず笑って夫を送り出す妻など、航空自衛隊に関する日常生活が書かれています。
この手の本は、軍事用語や専門知識に走りがちですが、そういう事は全くありません。
むしろ、軍事に興味が無い人にこそ読んで欲しい本だと思います。
700ページ近くありますが、冗長に感じませんでしたよ。
兵士を見よ (小学館文庫 す 7-2)

コメント

  1. バニ より:

    エメの自慢の一つにF-15のコクピットに座ったことがあるというのがあります。
    F-15の整備マニュアルをつくっていたこともあり、研修の課程で座らせてもらえたらしいのですが、うらやましい限りです。

  2. Hellion より:

    >>バニさん
    ほんと羨ましいですね!
    整備マニュアルを作ってたのも凄いのに、コクピットにも座れたなんて、ほんとえめさんを尊敬しちゃいます!
    コクピットに座ると膨大なスイッチの数に圧倒されるらしいですね。今度感想聞いてみたいです。

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